2012年、国際アマチュアピアノコンクール第1次予選2日目(2)
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■すまいるエフエム76.7MHz
☆毎週土曜日
19時〜スタート(1時間放送)
*番組名
『魔法のランプとキタローのわがままパラダイス』
URL(http://fm767.net/)
(http://www.simulradio.jp/)
(WMP対応のみ)
iPhoneは、【iPhoneのTuneln Radio】アプリから、「すまいるFM」をクリック
※オンデマンド放送による配信も始まりました〜!
オンデマンド放送ではBGMの音楽が著作権の関係で3秒でフェイドアウトします。
『ラジオでは【わがままピアノ講座】コーナーを担当中』
……………………………………………
□7/8(日)…杉並公会堂 小ホール(写真1、2)
各両日、
▽シニア部門(55歳以上)
▽B部門(任意の自由曲のみ、楽譜を見ての演奏も可能)
▽A部門(暗譜演奏必須、2次予選に任意のJ.S.バッハを必須と自由曲)
の、順で行われました。
1次予選はシニア部門が2〜6分
B部門A部門が3〜5分
の、時間制限が設けられてます。
また、昨年2011年にA部門で本選に出場したエントリー者は、翌年(2012年今年)の1次予選は免除。
いつもそうですが、1次が意外と楽しく聴けたりします。
…(1)日記からの続き…
□A部門
13.ラフマニノフ:絵画的練習曲op.39-5→厳密に言うと、細かな音が落ちたり省かれたり…という、ちょっと危ない要素を含んだ演奏。上手くペダルの響きに収まるようには形を作ってはいたが…。途中、さ迷う何たらが、みたいな事も聞こえましたが、技量があるからこそ?か。…★★★(予選通過)
14.(予選免除)
15.ボルトキエヴィチ:ピアノのための4つの作品op.65 より 2.エチュード、4.ポーランド風奇想曲→最初のエチュードは流れがあり、スリリングな部分もあり好感触、次の奇想曲は、かなり、オクターブや和音を必死に掴む事を優先してるために、音がかなりバタつく。さらにペダルが上から叩くように踏みつけるので、その奏法の改善が必須…★★★(予選通過)
16.モーツァルト:ソナタ第3番K.281 より 第1楽章→開始の装飾音のテーマと伴奏のバランスが上手く鳴っていない印象。ムヤムヤに始まって語尾に向かうみたいな場面が何度も。ピリッと表現を明確にしないと印象が薄い感じが拭えず…★★★
17.(予選免除)
18.ブラームス:6つの小品op.118 より 2.間奏曲→思い入れの起伏の激しい演奏。微妙な音の音色がグラグラ変わってしまうのが違和感。フレーズや楽曲の方向性を整理した方が、という思い…★★
19.ドビュッシー:前奏曲II より 12.花火→やや響きにピリッと感が不足。もっとヨーロッパの花火はロケット噴射のような(日本のように、打ち上げて暫く潜めてから爆発という花火とは違う)、ネズミ花火に近いイメージというのがヨーロッパの支流。
この花火の演奏で最大のアクシデントがあったのだが、エントリー者が同様したのか、17小節目(写真3)のグリッサンドの高音部B音(♭シ)が切れたのは、ちょっと可哀想だったが…。
(※ブチン!!と鈍い音がした後に、ピアノから黒鍵盤が飛んだ!?かと思いきや、演奏後、弦の部品がステージを超え、前の席の床に落ちたのでした)
途中、躓き直しや、さらに、68(69,70)小節目の三段楽譜の下段のヘ音記号Eis音を、全てE音で弾いたのは違和感。(※#が6つあるので、E→Eisで弾く箇所)…★★
アクシデントの後に、直ぐに調律の応急処置が行われたのは、言うまでもなく…
20.ラフマニノフ:前奏曲op.32-12,13→騒がしいアクシデントから一転、何事も無かったかのように、音色の豊かなロシアニズム。
凄く品の良さを感じた12番の前奏曲、続く、13番の壮大な前奏曲を時間の都合で盛り上がる前に時間切れになったが、気持ちの感情がコントロールされた音楽は、何とも楽しみな期待感がありました…★★★★(予選通過)
21.ショパン:練習曲op.10-3→何とも平坦な鳴り方が、些かな期待感を持たせなかったのが残念。ダイナミックアレンジや、フレーズ感をもっと音に伝わる奏法だったら…という思い…★★
22.ベートーヴェン:ソナタ第27番op.90 より 第1楽章→非常に明確に力強い分かりやすい演奏とでも言いましょうか。やや、音造りの丁寧さに欠ける部分も有りましたが、しっかりした演奏が好感触でした…★★★★(予選通過)
23.ベートーヴェン:ソナタ第4番op.7 より 第1楽章→最初の右手の跳躍するテーマでバランスを崩してから、和音の鳴らし方も段々不自然な事に。6/8拍子が揺らつく感じが最後まで拭えず。弾きにくい曲が故の難しさがつきまとったのが残念…★★
24.J.S.バッハ:半音階幻想曲とフーガBWV903 より フーガ→しっかり確か技巧で演奏されたのが印象的。途中、版にもよるのか違和感のある音も有りましたが、最後まで集中力を持ったままの素敵なフーガだったと思います…★★★★(予選通過)
25.シューマン:幻想小曲集op.12 より 2.飛翔→流れはなかなか有りましたが、音の立体的構成がやや、整理されていない部分も見受けられました。(6/8拍子)中間の右手16音符のパッセージの3拍目6拍目にテーマが邪魔になるようなアンバランスな部分、また【f】や【ff】などの和音の音質が硬い印象でした…★★★(予選通過)
26.シューマン:ソナタ第2番op.22 より 第1楽章→ある意味、自分らしさの配分を大事にした演奏。やや強引な歌い回し、そして、テンポの揺れ。ただ、この曲のテンポ指定は【極めて速く】とか【より速く】という指示のハズなので、ある程度、せき立てるような、シューマンがよく使う【agitato】な解釈は最低限、守らないと、だろう。その点で残念…★★★
27.モーツァルト:ソナタ第17番K.576 より 第1楽章→音の線は細いものの、心地よい運びが好感触。随一、気になったのが、短いフレーズの語尾にアクセントが付いてしまう箇所も度々、聞こえてしまう。やはり、モーツァルトの歌(歌曲やオペラ)を、ピアノでも表現するなら、という思いでした。短いフレーズにも、クレシエンド、デクレシエンドは当然あるとは思うのだが…★★★★(予選通過)
28.プロコフェエフ:10の小品op.12 より 7.前奏曲+束の間の幻影op.22 より 第7番→心地良いパッセージに載って、軽やかな前奏曲。全体的な造りはいいのですが、左右のバランスが逆に鳴らしてしまう点が惜しい。束の間…は、緊迫感のある演奏でした…★★★★(予選通過)
29.アルベニス:イベリアIII より 7.エル・アルバイシン→縦の線を節度良く守りながらの運びはいいのだが、和声の響きに練られた音像が感じられなかったのが残念。一本調子な鳴らし方ではなく、微妙な配分の透明感のある鳴らし方があるとは思うのだが…(それこそ【ピタゴラスの原理】のエッセンスを取り入れるとか)。リズム感ももっと表現に豊かさを出すような…、変化に乏しいのがやや残念な印象…★★★(予選通過)
30.シマノフスキ:練習曲op.4-1→美音でキレイと綺麗なのだが、何というか言わんとする事が只の羅列に聞こえてしまい、印象度が薄いのが拭えず…★★★
31.シューマン:ソナタ第2番op.22 より 第1楽章→音のセンスや方向性などは凄くいい素質のある演奏。だが、安定性に欠ける部分が何とも惜しい。強音の和音奏時に、ペダルから足もとが離れてバタバタと叩き付けるのは改善の余地が有り…★★
32.スクリャービン:練習曲op.8 より 第11、12番→全体的に真面目に取り組んだ形跡が伺えるのだが、11番のテーマ以外の音の扱い方がスマートな音像に欠けるし、12番では左手の跳躍するパッセージの運び鈍く、流れが活かせないままな感じに。スクリャービンほど、鳴らす音を沢山書いてる割りには、必要な音以外は、控え目に扱う事が多い作曲家ほど厄介な作品は難しい…★★★
33.(予選免除)
34.(予選免除)
35.ブラームス:幻想曲集op.116 より 4.インテルメッツォ→この演奏もキレイと言えば綺麗な演奏の部類。欲を言えば、フレーズの呼吸感を感じられず、そして、音色の変化に乏しい感じが拭えず。最初のモチーフの問いに対して応える対話的な微妙なセンスに欠ける…★★★(予選通過)
36.(予選免除)
37.ショパン:ノクターン第3番op.9-3→やや平坦な演奏の印象。パッセージに生きた輝き感が不足してる感じもあり、中間部は起伏の激しい部分も緊迫感に欠けた印象…★★
38.プロコフェエフ:ソナタ第1番op.1…全体的に癖の無い歌い方と、縦の線が割にしっかりしているのだが、和声感の微妙な変化に色を変えていかないと…な点がハッキリしない部分も。全部が全部、同じような鳴らし方がどうも腑に落ちない…★★★(予選通過)
39.メシアン:前奏曲集 より 8.風の中の反映→非常に稟とした集中力のある響き。自らの表現したい事とが一致するような演奏。緊迫感を大事にした解釈が好感触…★★★★(予選通過)
40.ドビュッシー:ダンス(タランテラ・ステリア風に)→よく練られた演奏。前向きさもあるし、流れが活き活きとして素敵な感じが終始有りました。リズム的に取りにくい6/8拍子(3/4拍子)をよく理解した演奏とも言えました…★★★★(予選通過)
41.ショパン:バラード第1番op.23→最初の数小節は期待感があるも、先へ行けば行くほど集中力に欠けるのが残念。もっとフレーズ感や方向性を大事に、とも思いました…★★
42.ショパン:ノクターン第18番op.62-2→全体的に深みのある音が欲しいにも、浅く鳴らし過ぎた感。晩年のショパンほど、メロディーに深みを求める作品が多いが、この作品も中間部に大胆なドラマ性を激しく解釈しなければならないところが、其処まで至っていなかった点が惜しい…★★
43.ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズop.22 より ポロネーズ→最初のユニゾンの序奏で、音の深みが足りないイメージが湧いてしまう。ポロネーズに入ってからも表現がピリッとせず、一本調子な感じが拭えない。こういうヴィルトゥオーゾ性の曲は奏者自ら意欲的に演出もしないと、表現し辛いのもあるが…★★
44.バルトーク:ルーマニア民俗舞曲→非常にワクワク感のあるエネルギッシュな演奏だったとも言える。やや速めなテンポ設定ではあったが、各小品を小刻みに演奏してたのだが、6曲目の『速い踊り』で、速め過ぎたのは確かだか、流れが突然に停滞気味になってしまったのが手痛い。何とか押し通してでも弾いて欲しかったのだが…★★★
以上、
国際アマチュアピアノコンクールの第1次予選の印象を書いて見ました。
今年は、非常に聴きやすい選曲が多く、また、丁寧な練習をするエントリー者もかなり増えて来てるように思いました。
ただ、自ら持ってる演奏能力と楽曲の難易度が、噛み合わない方もいるには居ますが、昔のような無茶無謀の続出する演奏が影を潜め、音楽的なセンスを優先する演奏が多かったようにも思いました。